こんにちは!
税理士の今井信吾です。
実は、銀行のお客様相談室でこの原稿を
書いております。
2年くらい、このお仕事を受けておりますが、
率直に相続対策は事前に計画的に準備した方が
いいと思いまして、皆さんにはそのことを
お伝えしたくて、このコラムを書こうと思いました。
相続税が増税方向にあります。
この2年で改正案が見送りになりましたが、
改正案が通ると4人に1人は相続税の申告が
必要となり、その50%が相続税の納税が必要
になると思われます。(東京都の場合)
相続税が発生しない場合でも、相続トラブルは
結構あります。
私もクライアントや銀行からの相談案件で、
知らない間に兄弟が親の財産を食いつぶしていたとか、
兄弟間で遺産分割で揉める事案は良くあることなのです。
これらの相続税、贈与税、相続承継トラブルを
防止するために、これから事例やそれに対する防止策、
解決策をご紹介していきたいと思います。
今回は相続税法がどのような方向に向かって
いるのかをご紹介したいと思います。
先ずは、改正案が通ると影響が考えられるものとして
(1) 基礎控除引下げによる増税がすごい
(2) 2次相続(残された配偶者の相続)に影響が大きい
(3) 財産の多い人には最高税率50%が55%に増える
(4) 暦年贈与を含めた相続対策を実行する人が増える
では、具体的にどうのような改正点があるのかご説明します。
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(1) 相続税の基礎控除の引下げ(増税)
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基礎控除とは遺産額から控除できる金額です。
基礎控除以外に遺産から控除できるものとして、
債務控除、非課税財産などがあります。
例えば、相続人が妻と子供2人の場合…
【現行の制度】
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
5,000万円+1,000万円×3=8,000万円
となります。
【改正案】
3,000万円+600万円×法定相続人の数
3,000万円+600万円×3=4,800万円
となります。
どうです?
この改正だけでも相続税の申告対象となる人が
6%増えると試算しています。
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(2) 死亡保険金の非課税限度額の制限(増税)
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死亡保険金のうち以下の金額については相続税
は課税されません。
【現行】
500万円×法定相続人の数
【改正案】
法定相続人のうち、(1) 未成年者、(2) 障害者、
(3) 相続開始直前に被相続人と生計を一にして
いた者(配偶者など)に限定されることになりました。
生計を一にしていない子供は対象外になった
ことはキツイですね。
生命保険を使った相続対策が厳しくなりました。
この改正案が通ると保険金受取人の変更や契約の
見直しに影響がでると思われます。
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(3) 相続税の税率強化
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相続税の計算は特殊です。
遺産額から上記(1)の基礎控除などを引いた
残りを仮に法定相続人が法定相続分で取得した
として、その取得金額に税率を乗じて算出した
税額を合計したものを相続税の総額とします。
【現行】
法定相続人の取得金額が3億円以下の税率40%
法定相続人の取得金額が6億円超の税率50%
【改正案】
法定相続人の取得金額が3億円以下の税率45%
法定相続人の取得金額が6億円超の税率55%
最高税率が55%に増えて、資産家にとっては
増税となります。
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(4) 2次相続税(増税)
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2次相続とは通常、夫が先に亡くなり、後で
妻が亡くなるケースが多いと思います。その
夫が亡くなったときのことを1次相続、妻が
亡くなったときのことを2次相続と言います。
こちらの解説には大変なボリュームを要しま
すので、今回は割愛しますが、実は2次相続
までをシミュレーションするとかなり増税に
なることがわかります。
相続対策をする場合は、2次相続まで考える
ことをお勧めします。
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(5) 未成年者控除額の引き上げ(減税)
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相続人が未成年者のときは、相続税の額から
一定の金額を差し引きます。
【現行】
6万円×20歳に達するまでの年数
【改正案】
10万円×20歳に達するまでの年数
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(6) 障害者控除額の引き上げ(減税)
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相続人が85歳未満で障害者のときは、相続税
の額から一定の金額を差し引きます。
【現行】
6万円(特別障害者:12万円)×85歳に
達するまでの年数
【改正案】
10万円(特別障害者:20万円)×85歳に
達するまでの年数
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いかがでしょうか?
今回は主に相続税の動向について説明しまし
たが、次回は主に贈与税や2次相続の影響に
ついて説明しますね。
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